翁舞神事は、現在『車大歳神社翁舞保存会』が保存・伝承しています。
地元では、「お面式」「能面の式」「お面の行事」あるいは、単に「お面」と呼ぶこともあります。
行事の創始に関する資料や伝承はありませんが、当地区の家の戸主は隠居するまでに一度は、この神事を営む「ヤド」を勤めなければならないとされています。
毎年、1月8日から12日までの5日間、ヤドでは、点した1本のろうそくをご神前に見立て、翁・三番叟・露払いの各役、そして笛・大鼓・小鼓方など、そこに向かって集中した稽古を行います。
当日14日の午前、神前に於いてこの神事に奉仕する人たち、又翁舞保存会の役員たちはお祓いを受け、神事の無事舞い納める事を祈願した後、本殿に祀る神面三面を受け、行列を組んでヤドに持ち帰り、縁側より入って床の間におさめます。
午後6時ごろ各員装束を整え、縁側からヤドに入り最後の稽古の舞が舞われます。
午後7時、またもと来た様に縁側から庭に出て行列を整え、小田原提灯で足元を照らしながら神社に向かって参進します。
そして、拝殿において宮司によるお祓いを受けた後、神酒をいただき笛と小鼓によって約1時間の翁舞が始まります。
この舞は呪術性が強く、当社のご神体として祀られている神面を使って「天下泰平」「国土安穏」「五穀豊穣」を祈願するものです。
現在一般に演じられる翁舞より「父尉(ちちのじょう)」の部分が多く、四部構成で演じられます。
南北朝時代の猿楽『翁』には「父尉」は登場しましたが、猿楽が発展した室町時代では既に登場しなくなっているそうです。
当社の翁舞は、よく古態を守って芸能の変遷を示すのに重要ということで評価され、平成12年12月『国の重要無形民俗文化財』に指定されました。